県公式・兵庫五国連邦プロジェクト

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【TSUNA5|vol.002】神戸マッチ編

全国的に地域産業の後継者不足や、移住による継業などが話題になるなか、

兵庫五国には古き良き〈技・カルチャー・想い〉を現代につなぎ、


見事に昇華させたコンテンツが実はまだまだ潜んでいる。


それらを愛してやまないLOVERSの声から、


“つなぎ”の裏に隠された多面的な魅力を紐解いてみよう。

マッチで香りを楽しむ。
地産を使った新しい発想
神戸マッチ株式会社 播磨・太子町

伝えるのは「道具」ではなく「行為」。
”灯す”ことが人の心を穏やかにする

【ABOUT】
「マッチづくりの技術を活かしてアロマグッズを開発」

神戸マッチ株式会社が製造する「hibi」。2015年の発売以来、日本のみならず世界でも注目されるプロダクトだ。淡路島にある「株式会社大発」神戸のデザイン会社「TRUNK DESIGN」と協業したもので、一見マッチのようだが実はアロマグッズ。着火具不要な手軽さに加え、香りが続く10分間を豊かに過ごせるとあって、開発の翌年には海外へも進出を果たした。

同社があるのは兵庫県南西部の揖保郡太子町。この聖徳太子とも縁深い町で1929年に嵯峨山作一氏が創業する。1960年代には海外製の機械を導入。生産の合理化を図る一方で、マッチ作りで培った印刷技術を活かしコースター制作やラッピング広告も手がけるなど、時代に合わせたサービスを提供し続けてきた。

LOVERS’ VOICE

梅田 蔦屋書店のスタッフもリピーターに

梅田 蔦屋書店 コンシェルジュ
岩浅明日香さん

発想の柔軟さと愛情。専門店の店長も驚く

マッチ専門店「マッチ棒」店長
岡部由樹さん

実はフランス人の同僚から薦められたhibi

Air de Malice
宮内敬子さん

梅田 蔦屋書店のスタッフもリピーターに

梅田 蔦屋書店 コンシェルジュ 岩浅明日香さん

梅田 蔦屋書店のスタッフもリピーターに

全国に20店舗を構え、様々なジャンルの本を取り扱うだけでなく、雑貨や家電など豊かなライフスタイルを提案する蔦屋書店。大阪梅田の蔦屋書店で文具コンシェルジュを務める岩浅明日香さん(以下、岩浅さん)は、これまでも日本中の魅力的なプロダクトを紹介してきた。

「発売当初からずっとhibiには注目していたんですが、実際に取り扱うようになったのは5年前からです。手軽さやかわいいパッケージに惹かれる人が多く、口コミを中心にどんどんファンが増えていきました。リピーターの方も多くいらっしゃいますが、実はスタッフにも好評。学生時代に働いていたスタッフが、今でも買いに来てくれます」

岩浅さんをはじめ、良質で個性あふれるプロダクトを多く目にしている蔦屋書店のスタッフにもhibiは魅力的に映ったようだ。

「例えば夏には爽やかなレモングラス、お休みの前にはラベンダー。気分やシーンに合わせて使い分けられると同時に燃焼が10分間なのもポイント。心理的なハードルが低いというか。誰にでもおすすめしやすい理由のひとつですね」

普段アロマを使わない男性もhibiなら

「個人的にはぜひ男性に使ってほしいと思います。アロマと言えば女性のイメージが強いかもしれませんが、hibiは見た目がマッチなので男性でも手に取りやすいはず。ディフューザーやお香立てといった道具を購入する必要もありません。そうそう、先ほどお話したスタッフのリピーターも男性なんですよ」

ベースがマッチならではの手軽さに加え、日本人の感性にも合う柔らかな香り。誰もが手に取りやすく、試してみたくなるパッケージデザイン。「神戸マッチ」「大発」「TRUNK DESIGN」の3社が繋がることで、新しいプロダクトが生まれたのだ。

即答。「断然ギフトですね」

岩浅さん自身が使い方をおすすめするなら?

「断然ギフトですね。ちょっとしたお礼をしたいときに大げさになりすぎず…コンパクトなので部屋にあっても邪魔にならないのもポイントです。実は蔦屋書店限定の香りもありますので、ぜひギフトにしてみてください。hibiがきっかけで、人と人とのつながりが生まれたら素敵ですね」

10分間の癒し、10分間の静寂、使い方は人によって様々。しかし誰にとっても豊かな時間をプレゼントできるとすれば、これほど最適なものはなかなか見つからない。

マッチづくりのメッカで生まれたことの意味

播磨地域を中心に兵庫県では全国の約90%のマッチが生産されている。hibiが生まれた揖保郡太子町ももちろんその地域に含まれるが、かつてマッチづくりのメッカだったということを知らなかった方も多いはずだ。岩浅さんもその一人だったと話す。

「揖保郡といえばそうめんの印象がありましたが、マッチについてはhibiがきっかけで知ることになりました。そんなふうに、商品をきっかけに生産されている背景や地域にも興味が持てる。私にとっても嬉しいことです」

プロダクトで小さな町から世界に羽ばたく

2015年に発売されたhibiは、その翌年にフランス・パリで開催された欧州最大級のインテリア&デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展。海外28ヶ国(2019年8月現在)で取り扱われるようになった。

「真摯にものづくりを続けてこられた地場の会社が、世界でも注目を集められたのは凄いことだと思います。それまでに長い歴史があり、技術を高めてこられたからこそ、国を問わず評価されたのではないでしょうか。それは嵯峨山社長のお人柄にも表れていると思います。hibiがもっと世界中に広まってほしいと思いますし、きっとそうなるのではないかと感じています」

発想の柔軟さと愛情。専門店の店長も驚く

マッチ専門店「マッチ棒」店長 岡部由樹さん

発想の柔軟さと愛情。専門店の店長も驚く

神戸·北野にあるマッチ専門店「マッチ棒」。レトロなものからキャラクターマッチ、独創的なデザインのものまで、130種類以上のマッチを取り扱う。そこで店長として働く岡部由樹さんは、マッチには奥深い魅力があると話す。

「今では使う方も少なくなってきたのですが、知れば知るほど面白いなと思いながらお店に立っています。ラベルのデザインはどれも秀逸で心惹かれるものばかり。そしてそれを手に取るお客様それぞれにマッチへの思い入れや懐かしい思い出を持っておられます。そんな思いに触れるだけでも、マッチっていいなと実感します」

そんな岡部さんが衝撃を受けたのがhibiだった。

「見た目はマッチですが、火が付くものではありません。「擦る」という行為でお香を楽しむ発想が素晴らしいですね。専用のマットも付属しているので、簡単に楽しめる。長らくマッチを作ってこられた神戸マッチさんが、「擦る」行為を残して開発したことにも愛情を感じました」

“擦る”という所作を後世に残す

「マッチ棒」の運営母体である日本燐寸工業会は、マッチづくりをする20企業が参加する業界団体。各企業の商品を紹介する役割を持つ。hibiについても発売に際し、神戸マッチから開発にあたっての想いを聞く機会があったそうだ。

「何よりもまずは“擦る”という所作を残すことだと聞いています。そして今までにない香りの楽しみ方を提案したいということでした。「神戸マッチ」「大発」「TRUNK DESIGN」。地元・兵庫県の企業がコラボした、兵庫県を代表する商品だと思います。お線香の繊細な香りを再現し、さらに折れない強度を確保するために、紙繊維や炭を配合して練り込むなど、それぞれの会社が得意分野を活かし、結集させた。それでいて手軽で誰もが楽しめる商品になっている。hibiのおかげで、マッチを擦るという何気ない行為が、これまで以上に特別に感じられるようになりました」

商品として、文化として、共感を生む

hibiを購入できるのは、神戸マッチのオンラインショップのほか、梅田 蔦屋書店をはじめとする感度の高いショップばかり。それは単に売上だけ目指すのではなく、文化としてのマッチやhibiそのものを残すためだという。

「多くのお店で販売するのではなく、本当にhibiに共感していただけるショップにのみ置いていると聞いています。当店に来られるお客様でも、やっと見つけたと言って購入される方が多いですし、そのような方は必ずリピーターになってくださいます。私自身、1日の終わりにhibiを使うことが多いのですが、照明を落としてぼんやり過ごすことが至福の時間に感じられるようになりました」

実はフランス人の同僚から薦められたhibi

Air de Malice 宮内敬子さん

実はフランス人の同僚から薦められたhibi

2004年からフランスで生活し、日仏の架け橋となる仕事を現地で行う宮内敬子さん。Air de Maliceという、フランス人のご主人や仲間と立ち上げた会社で、日本のブランド紹介やマーケティングなどを目的としたイベントを開催。見本市への参加やフランス市場への参入、PRを手がける。hibiを知ったのは実はフランス人の同僚からだという。

「初めはフランス人の同僚がどこかのサイトで見つけたのがきっかけです。日本語のサイトだったので同僚が読めなくて、これは何だ?ということで私に見せてくれました。hibiのようなデザインのお香は見たことがなかったので、斬新でした。マッチをお香にするというアイデアはもちろん、海外展開も見据えたビジュアルやブランドコンセプトなど、本当に素晴らしいと思います。私は元々お香が好きだったので、実際に使ったらどんな香りなのか試してみたいと思いました」

最高峰のデザイン見本市で、伝説のセレクトショップが目を付ける

一般的にフランス人は日本文化に対して憧れや愛着などポジティブな感情を抱いているという。hibiも2016年に世界最高峰のインテリア&デザイン関連の見本市「MAISON & OBJET PARIS 2016」で好評を博したほか、注目すべき出来事があったとのこと。

「今は閉店してしまいましたが、世界のファッションブティックの頂点と呼ばれた、コレットに置かれたんです。これは本当に凄いことで「最も新しいもの」や「最高に良いもの」がすべて最初にコレットに集まると言われていました。コレットにあるなら、と小売店の方が自分の店に置くことを遠慮してしまうくらいです」

繊細とミニマル。日本的なエスプリ

宮内さんのご主人をはじめ、hibiの上品な香りは好評だという。それは、お線香由来の香りに日本のエスプリを感じるからだと。

「フランスをはじめヨーロッパでは、今ある空間の香りを消すような意味で、アロマを使ったりします。hibiはそんな香りに比べると繊細で香りの種類もどこかオリエンタル。それがミニマルにマッチのように収められていることに、日本らしい魅力を感じているのではないでしょうか。私自身ももちろん愛用しています。主婦であり母である朝の顔から、仕事へ向かう際の切り替えによく使います。朝のバタバタした時間を浄化する、といいますか(笑)。hibiは香りと後片付けの簡単さで完璧。そしてお香の長さが絶妙です!短かすぎず長すぎないので、ちょっとした気分転換に最適です。もちろんお香のクオリティは最高なので、咳が出ることもなく。これは愛用せざるを得ませんよね」

神戸マッチ株式会社
[本社/工場]
兵庫県揖保郡太子町鵤414
http://kobe-match.co.jp/

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