Vol.00「君ノ名ハ、僕の名前と似ているネ。」
ぼくは、君の名を探す。
君の名前を呼ぶために。
君との物語を紡ぐために。
君ノ名ハ、
ボクの名前と似ているネ。
神は「光あれ」といい、
昼を、夜を、天を、陸を、海を、名付けたという。
ぼくは、君の名を探す。君の名前を呼ぶために。
君との物語を紡ぐために。
日本人の名字でもっとも種類が多いのは、 地名を起源としたものらしい。
都から地方に移り住み、その土地の名前を名字とする。
あるいはどこか知らない土地に移り住み、 故郷の地名を名字とする。
故郷の地名自体を、新しい土地の名前とすることもある。
遠州浜松出身の権兵衛は、
江戸で名主となった地域に「芝浜松町」という名前をつけた。
徳川家康は江戸の治水工事や漁業のため淀川佃島から漁師を移住させ、
その地に「佃島」と名前をつけた。
イングランドから自由な新大陸を目指して大西洋を渡った
ピルグリム・ファーザーズが上陸したアメリカの地は 今でも、
「ニュー・イングランド」と呼ばれている。
君の名は、ぼくの名前と、すこし似ている。
ぼくは、きみを探す。君に会いに旅をする。
君との物語を紡ぐために。
ぼくたちの明日が、ちょっと楽しくなる......かもしれない。